市長出前講座 報告

a0232486_10552723.jpg
 


去る 6月25日に、南房総市長をお招きし、南房総市千倉支所におきまして、「南房総市の津波対策」についての市長出前講座が開催されました。当初の予定をはるかに超えた100名以上の市民参加となり、皆さんの関心の高さを伺わせました。南房総市長の前向きな対応と相まって、市長と市民の皆さんの間に活発な意見が交わされました。
 ここに、その出前講座で話されました内容を、市民の方々にご報告致します。参加された方は、内容確認として、また参加されなかった方は、市長が語る南房総市の津波対策として、
地域の、個々人の今後の津波防災対策として参考にして頂きたいと存じます。

南房総市長出前講座 
 【日程・場所】 6月25日(土)14:00〜16:00  南房総市千倉支所    出席者 100名超
 【テーマ】 南房総市の津波対策
  —津波てんでんこ、その前に、みんなで考えよう津波対策 
  質問内容ー「南房総市地域防災計画」は、どのように見直されるのかー
① ハザードマップの見直しに関して
② 防災無線、避難勧告に関して
③ 避難経路の表示に関して
④ 避難経路に伴う階段等・高台・避難場所としての里山の整備に関して
⑤ 津波避難ビルに関して
⑥ 港湾地域の重油タンクに関して
⑦ 避難所に関して
⑧ 津波を想定した防災訓練の徹底に関して
⑨ 防災意識を高めるための活動に関して
⑩ 東日本大震災における南房総市の、避難者の受け入れ態勢に関して

市長からの説明
① ハザードマップの見直しに関して
・南房総市の新たなハザードマップは、30年内に起こるであろうとされる、東海地震、または、そ れに連動して起こる地震を想定する。
・東海地震による南房総の影響は、津波の高さ2〜3m、津波到達時間20分、東海・東南海・南海地
震が連動して起こる場合は、津波の高さはその1.5倍の5〜6mになる。南房総市では、危険度を
より上げた、以下のもの想定する。
・津波の高さ10〜15m、津波到達時間10分、避難する距離300m周囲、これが基準となる。
・ 現在、これらの条件を充たす避難場所をチェックしている。
・ 新しいハザードマップの作成には1年を要する。

② 防災無線、避難勧告に関して
・ 無線にはアナログ電波とデジタル電波がある。千倉町はアナログであるが、防災無線のデジタル化は国策として進められている。
・ 今、南房総市はアナログで7つの周波数をもっており、これをつぎはぎしながら使用しているのが現状である。デジタルでは一つの自治体に一つの周波数しか認められないので、これを一つにまとめながらデジタル化へ移行する。
・ 現在は設計業務に入っており、来年度以降は、機械の入れ換え、パンザマストの撤去等が始まるが、その費用は32〜33億円かかる。
・ 本来設計と工事とで3年かかるところを2年で実施したい。
・デジタル化に伴い、現在の戸別無線機は使用できなくなる。新たな戸別無線機は市から配布する。(この費用も予算には含まれている)

③ 避難経路の表示に関して
・ ハザードマップが完成し避難所が確定した後、避難経路に関しては、住民自らが考え確認することを基本とする。

④ 避難経路に伴う階段等・高台・避難場所としての里山の整備に関して
・ 周囲200〜300m以内に高さ10〜15mの津波に耐えられる避難場所がない所に関しては、そのような場所を作る。
・避難は車ではなく、自分の足で逃げることを基本とし、避難場所を考えて欲しい。

⑤ 津波避難ビルに関して
・ 現在千倉町の避難ビルは、「千倉館」「スパラダイス夢みさき」「ミラマール千倉」と協定を結んでいるが、これ以外にも高台にある旅館、ホテル等、増やす方向である。

⑥ 港湾地域の重油タンクに関して
・ 今回の東日本大震災でも気仙沼のように、港湾地域の重油タンクの火災の被害は大きかった。平
館漁港の重油タンクは現在の消防法の規制をクリアしているものであるが、津波の被害には堪えられないだろう。
・ 重油タンクは 沿岸部共通の全国的な問題なので、津波に対して強化するよう国に要望していく。動向を見ながら、市としても考えをまとめてゆく。

⑦ 避難所に関して
・ 現在千倉町で、広域避難場所に指定されているのは、B&G(海洋センター)、千倉中、と4つの小
学校(健田小、朝夷小、忽戸小、七浦小)の6ケ所である。
・ 職員の配備体制を見直す⇒複数の職員配備、役割分担をする。
・今回、各区避難所の様子など外部の情報が入り難かった。
・ 対策本部(本部長:市長)と避難所とをつなぐ防災無線のデジタル化に伴う無線機を配備する。
・ 各広域避難場所へ備蓄倉庫を設置する。
・ 災害時、職員は広域避難場所には急行するが、公民館や集会所のような避難所は住民自身が対応することになる。
・ 広域避難場所へ移動する前の避難所では、食料の備蓄もないので、自主防災組織や区長を中心とした地区毎のコミュニティで、自主的な秩序を形成し対応して欲しい。

⑧ 津波を想定した防災訓練の徹底に関して
・ 現在行っている地区毎の自主防災訓練に、積極的に参加して欲しい。
・ 避難所となるような高台を住民自ら探し、防災訓練の時には活かして欲しい。

⑨ 防災意識を高めるための活動に関して
・ 防災意識を高めるために、9月号の広報誌で緊急特集を組む。
・ 小中学生の防災に関する学校レベルの教育を行う。
・ 防災マップを配布したときは、市から防災に関する考え方の説明を行い、家庭や地域での防災意識を高めるようにしたい。

⑩ 東日本大震災における南房総市の、避難者の受け入れ態勢に関して
・ 三芳の農村環境改善センターに南相馬の2家族8人が避難していたが、5月中に故郷近くまで戻り、仮設住宅の空きを待つ、ということで帰られた。
・ 地域の中では個人的に避難者を受け入れている方もある。税金等の問題は、国の手続きに従って対応している。
・ 花の谷クリニック等の医療施設で、特に身体の不自由な被災者を受け入れようとしている。それに市は協力してゆく。


市民との質疑応答
① ハザードマップの見直しに関して
・ 津波に関する用語の説明が不十分である。津波高、津波遡上高、津波浸水深を市民に分かりやすく説明するものが必要。
・ 漁村センター前にある「元禄地震の再来想定津波高」の表示は正しいのか。津波浸水深ではないのか。早急に正しい表示にして欲しい。
⇒(市長)誤解を招くので撤去したい。県と話し合いながら対策していく。
・ 海抜表示設置数が少ない。設置場所にばらつきがある。海抜表示の不正確と思われる個所がある。
・ 新たなマップ作成に一年を要するというのは長くないか。
⇒(市長)県、国を通すとなると、何年もかかる。市として早急に独自に進めるが、市民が普段
から確認しあうことが重要である。
・ 南房総地域が一番想定しなくてはならないのは、本当に東海地震なのか。国土地理院からも、南関東地震は相模トラフを震源とする、元禄・関東大震災と同じ型のもので、これが起きる、という予測も出ている。ここで起こったら津波の到達時間は数分である。文部省からは南関東地震予測が70%というデータがあり、いずれも国の調査期間による発表も検討すべきではないか。
⇒(市長)南房総市のハザードマップでは、東海地震を想定したものより、より危険度を上げた
ものに対応している。
・ 沼津市では詳細な津波の浸水域を書き込んだ地図が作成されている。同様とまではいかなくても、等高線や到達時間を書き込んだ地図も必要ではないか。
⇒(市長)海底の地形まで調査し、津波遡上高をデータ化するのには時間がかかりすぎる。優先すべきは避難所の確認である。
・ 現在インターネットでしか入手できない津波ハザードマップも、新しいものは市民に全戸配布して欲しい
⇒市長承認

② 防災無線、避難勧告に関して
(市長)東日本大震災発生時、南房総市は合併前の防災無線システムをつぎはぎして使用していることが理由か、何らかのシステム障害が発生し千倉町への連絡が入らず遅れた。市長は把握していなかった。
・ 通信衛星を活用した緊急情報伝達システムー(全国瞬時警報システム)J-ALERTを導入したらど 
うか。
⇒(市長)既に導入している。(防災課から)震度4以上の地震が予測される場合、防災無線に自動的に流れるようになっている。
(市民から講座終了後に質問)
・ 防災無線をデジタル化する前に、コミュニティFMの開局と携帯ラジオの配布、という選択肢はないのか。
⇒(市長)開局しても、中継基地の敷設に膨大な費用がかかりすぎるために無理である。

③ 避難経路の表示に関して
・ 表示板の様式、設置位置が不統一である。
⇒市長確認
・ 地震発生時、私たちは居住しているところにいるとは限らす、地元に不慣れな観光客もいる。現在の避難場所を書き込んだだけの表示ではなく、避難場所までの経路を矢印で表示したものを電柱等利用し、設置して欲しい。現在、川口地区等、一部にだけはあるようだが。
⇒市長承認。

④ 避難経路に伴う階段等・高台・避難場所としての里山の整備に関して
・避難経路に伴う整備を、市民が自主的に行った場合の費用はどうなるのか。
⇒(市長)避難場所として適当な里山や高台があった場合、階段や道の整備に要する費用は市が負担する。

⑤ 津波避難ビルに関して
⑥ 港湾地域の重油タンクに関して
(以上2項目については特に質問なし)

⑦ 避難所に関して
・避難所には、車椅子を使用している人や、要介護者も入る。バリアフリー化が必要ではないか。  
⇒(市長)避難所のバリアフリー化は考えている。
・ 今回、車で避難した方もいたが、道路の渋滞、駐車場の確保や整列など多くの問題を含んでいる。
しかし、一方、身体が不自由で車での移動しか手段のない人もいるだろう。
⇒(市長)車での避難ではなく、自分の足か自転車での避難を考えて欲しい。
・ 阪神大震災の経験から、広域避難所は避難が長引いた場合、他の避難所からも人が集まるようになる。その収容人数に見合ったトイレの数が必要となるであろう。

⑧ 津波を想定した防災訓練の徹底に関して
・ 住民一人一人が責任をもって逃げろというが、独居老人も多く、とっさの場合はうろたえてしまうのではないか。やはり大事なことは市長、区長、組長といった連携で不意の災害に対応できる訓練を文書によるものばかりではなく、身体を使った実際の津波防災訓練をすることが必要である。避難の状況、訓練の成果の報告などを通して、津波防災訓練の改善、見直しをする、という行動を起こす時期に来ているのではないか。
⇒(市長)災害弱者(高齢者や要介護者)に対応するための要支援者リストを消防団と情報を共有している。しかし個人情報開示の問題から登録は十分ではない。地域の訓練を通して、日常からお互い声を掛け合ったり、助け合ったりすることが必要であろう。
・ 自主防災組織として、千倉町は昭和50年代から30年間防災訓練を行ってきた。集団避難、初期消火、応急救命の3点が主なものである。それらは地震が前提とはされていたが、津波防災ではなかった。津波を前提とした防災訓練はまったく違った観点から行わなくてはならないだろう。習慣として行ってきたこの大事な防災訓練の内容を、津波を前提とした内容に変えてゆく必要があるだろう。同じ千倉町の中でも地区毎に状況は違い、画一的な内容指導はできないだろうが、市として、一つの行動指針を示して頂けないか。
⇒(市長)9月には防災訓練が行われる。今年の場合、やはり津波防災を念頭に置いたものを実施するよう、区長とも話し合い、実効性のある訓練になるように考えてゆきたい。
・ 南千倉海岸でサーファーの津波防災訓練に関し、大隅市の例のようにライフセーバーや消防団、
 警察、海の家の人々をも含めた大規模な訓練を実施するような場合、協力をお願いできないか。
⇒(市長)ライフセーバーの方にはそのような役割を担って頂きたい。計画段階から話し合いましょう。

⑨ 防災意識を高めるための活動に関して (特に質問なし)
⑩ 東日本大震災における南房総市の、避難者の受け入れ態勢に関して
(花の谷クリニック)
・ 今回の震災に際し、現在石巻市との連携で要介護者を受け入れている。ここで提案したいのは、災害時における要介護者のための避難所の用意である。今回はB&Gに避難し一晩を過ごした。千倉苑の方々も健田小に80名避難したが落ち着かず、大津波警報はまだ解除されていなかったが2時間程で帰った。このような事態と実際の被災地の様子から考え、要介護者の避難に体育館形式の避難所は難しいと思われた。そこで要介護者のための避難所を別途に用意することで、そこは例えば避難が長期化した場合、健常者が利用できる場所となるのではないか。
・ 津波だけではなく、今回の停電も含めた災害時には、病院から病院への受け入れや、例えば特老施設間の受け入れ、また施設には入居していないが要介護者を施設に受け入れる、というようなネットワークが確立できないか。公の施設だけでは十分な対応ができないのではないかと考える。
⇒時間がオーバーしたため、市長と個別に話し合われた


今後の課題
1. ハザードマップ完成までに、個人、または地区毎に行うもの
・ 津波関連の用語の説明理解
・ 等高線を書き込んだマップを至急制作することを市へ要請
・ かつての千倉町で配布された津波浸水地図の復活
・ 海抜表示その他の表示の設置場所等の確認
2. 防災無線のデジタル化までに現在のアナログの防災無線は改善できないのか
3. 避難経路に関しては地域住民でよく話し合い、安全で短時間で行けるコースを探す
4. 周囲に適当な避難場所がない地域は、積極的に市に働きかける
里山整備が必要なところも、その具体的な計画をたてる
5. 津波避難ビルを確認する 小学校は再編の問題もあるのでそれを含めて考える。
6. バリアフリー化が必要な個所を具体的に挙げる
7. 防災訓練の徹底
・ 津波を前提とした防災訓練の徹底
・ 独居老人、要介護者の避難問題
・ 民生委員、地区毎の市民同士の連携
8. 子どもを含めた防災意識を高めるための活動
9. 要介護者、認知症患者等の避難問題
10. 原発問題も含めて学ぶ
[PR]

by boshu-moyai | 2011-06-27 07:20 | 市長出前講座